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時雨 shigure

大雪 taisetsu 1207

二十四節気、一年間限定のスタイル提案blog
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雪いよいよ降り重ねる折からなれば也 <暦便覧より>


朝夕には池や川に氷を見るようになる

大地の霜柱を踏むのもこの頃から

山々は雪の衣を纏って冬の姿となる頃





Hashimono Shinobu × Nishi Asako

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山査子 Sanzashi

美しい名前をもつ バラ科の実
享保の時代から日本に渡っていたというのに
その存在は 未だひっそりと佇む
山野に隠れるように 静かに咲かすその花のように


今日、山査子が一人のpâtissièreの手にかかる

「山査子の酸味は フランポワーズのような爽やかなものではない
でもそこに魅力があるような気がするんです」

寡黙なpâtissièreの手元は・・饒舌に新しい「山査子」を語り始める

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gateau aux SANZA

パイ生地にはパートブリゼ
アクの強い皮付きのヘーゼルナッツクリームを生地に敷きこむ

「山査子の酸味を引き立てる素材は使わない。
何層にも重なる どっしりとした趣を・・
ゆっくりと時間をかけて味わえるようなものを作りたいから」


そうやって・・
オーヴンから出てきた菓子は 
やはり山査子のような物静かな佇まい


ゆっくりと口に運ぶ・・
笑みがもれる

深い茶が欲しくなる。
洋菓子であり・・和菓子なのだ。

時雨。

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スタイリングを終えた彼女に聞く
テーマは?

「冬篭り」

はにかんだそのpâtissièreの視線の先には
細かな雪を被った「山査子」が

やっぱり ひっそりと 佇んでいた。




大雪 taisetsu 1207_c0163908_1314530.jpg西あさ子
haruiro工房


DATA: 料理・スタイリング 西あさ子 / 写真・器 橋本忍 / 文 井川美香



秋と冬の間で

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よくある風景のひとつなのだろうけど、少しばかり新鮮に映った風景だった。
小川の表面が薄い氷に覆われている。小川に漂っていたのだろう無数の落葉がその中に閉じ込められ動きを止める。
秋が冬に飲み込まれた瞬間だった。

秋がまだ冬に飲み込まれていないところでは、カモたちが悠々と小川の上を泳いでいた。冬の追っ手から逃げるかのようにあっちへユラユラ、こっちへユラユラと遊泳しながらカモたちは気持ち良さそうに泳いでいる。

そのカモたちの向こうに1匹の野良猫がいた。その野良猫は雑木林の中で佇んでいる。時折、カモを狙っているのか、水が飲みたいだけなのかカモが浮ぶ小川に近寄ってきてはフラフラと水際を行ったり来たりしている。

その野良猫の頭上には黒いカラスが数羽いる。割と低い木の上で、あさっての方角を眺めながら「カー」と鳴いている。羽休めでもしているのか。それとも獲物を狙っているのか。

そんなすべてを見ていた人間がひとり、小川の近くでカメラを抱えて立っていた。少しばかり白い息を吐いて必死にカメラのファインダーを覗きこんでいる。そこから何が見えるのだろうか。何を見つけようとしているのだろうか。

そこには、それぞれの冬支度と生命の息吹があった。

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氷の中に閉じ込められた落葉が再び自由を手に入れるのは、あとどのくらいの時間が必要なのだろう。
小川が全て凍りつく厳しい冬になると、あのカモたちは何処へ飛んでいくのだろう。
すべてを覆いつくしてしまう深い雪と凍てつく寒さの中で、あの野良猫は生き抜いていくことができるのだろうか。
きっと黒いカラスは相も変らず図太く冬を越すのだろう。
そして僕は今年、どんな冬を過ごすのだろうか。

2008年も残りわずかとなった12月の初旬。
そんなことをぼんやりと考えながら中島公園の中を流れる小川を眺めていた。

12月7日は二十四節気でいう「大雪」の季節になる。読んで字の如く、たくさん雪が降る季節ということだが、完全な雪景色に街が覆われるのはもう少し先の話になりそうだ。


DATA:  写真・文 山田憲治



時雨流〆飾り Tsunoda Shinsuke


時節のしきたりと 真摯に向き合う
楽しむ

現代(いま)を生きる 私たちらしく 
時雨 -Shigure- らしく

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「 Moditional デザインのお正月飾りを 」
時雨Projectの想いを
フローリストの角田晋輔氏が
形にしてくれました

限定15個のご用意がございます
詳細は時雨STOREページをご覧ください


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角田晋輔
花の存在価値の追求を真髄とするフローリスト
サミット会場装飾に携わるほか その表現の場は海外にも及ぶ




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特別な花じゃなくてもいい
花がある それだけで 優しくゆっくりとした時間は 生まれるから
- Shinsuke Tsunoda -





時雨フォト募集


時雨では読者の撮った「時雨フォト」を募集しています。
テーマは、あなたなりに感じる「時雨」を表現した写真であればOKです。
時雨チームの選考によりサイトに掲載させて頂きます。
投稿はこちらより



季のこと綴り


日々の暮らしのカレンダー。でも、それに従うだけじゃつまらない。

自分だけの、自分のための、ちょっと特別なカレンダーを。

これからの1年、美しく粛々とした季の暮らしに触れて過ごしてみたいと思います。



大雪 taisetsu 1207_c0163908_16445579.jpg大雪のくらしごと
~刺し子で布巾縫い~


閉塞成冬~ソラサムクフユトナル

十二月
関東では八日、関西では十三日
新しい年を迎える準備を始める
「事始め」の日

新しい年に訪れる歳神様をお迎えするために
昔から、お正月と同様にこの時期も大切にされてきたのだそう。

ほうきに変わり掃除機が使われ・・
使い捨ての簡単な掃除用具を使うことも珍しくなくなったけれど
それはそれで、便利に使えば良いのだけれど。

その使い勝手の良さには どうしてもかなわない
・・というものがある。

「晒し(さらし)の布巾」

縦糸と横糸がしっかりと均等に張り
何より純粋無垢な佇まい 質感

晒しの反物にシャッと鋏を入れる時の
なんとも心地の良い音は
日本でずっと古くから使われて続けてきたものの凛とした誇りを表す気がします

なんとか年を越せるだけ、部屋の掃除を終えたなら・・
寒い夜、温かなストーブの前で 
来年の為の新しい布巾を縫いはじめよう



「刺し子」

もともと布の補強や防寒を目的に生まれた 日本の伝統的な手仕事
綿花の育ちにくい地方の人々が 貴重な木綿布を大切に使い続けるために
ひと針ひと針刺し縫いしたのがはじまりだと

そんな暮らしの知恵として生まれた刺し子
その伝統模様には
「麻の葉」 「紗綾形」 「角亀甲」 など 美しい模様が。

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規則的に繰り返される幾何学模様
現代に生きる私達の目には 
古びて見えるどころか とてもモダンで新鮮なものに映るから不思議

せっかくだから
新しい布巾は 刺し子で作ってみることにしたい

晒しを良い寸法に裁断したら
好みの図柄を転写して
針と糸でちくちくと運針をするだけ。


刺し子用の糸は定番の朱・藍のほか
現代らしい やわらかな色味も出回っている

たかが布巾・・と思いつつ
おそらく毎日てにするであろう、目にするであろう事を思えば
デザインひとつ  色ひとつ こだわりたくなってしまう。

来年の最初におろす布巾はこれ。
目に鮮やかな紫の刺し子で “時雨”寄りのおもむき。


「かどはき」は自分の家の前を掃除し打ち水を打ち いつもきれいにしておくこと
「始末する」は物を大切に使うということ

来る年は・・新しい布巾を片手に
襟を正して 暮らしに向き合いたいもの。

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DATA: 文・写真 井川美香




時雨shigure 次回更新は【冬至・12月21日】の予定です




about 時雨 Shigure

和と上手に暮らすライフスタイル提案マガジン
二十四節気(にじゅうしせっき)の各時節柄にフォーカスを当て札幌を中心に活動する各方面のプロが
Moditional = [traditional + modern]
をキーワードに、各視点から「和と現代の暮らしをクロスオーバー」させ、心と暮らしを豊かにするスタイルを提案していこうというプロジェクトです。
違う分野で活動する面々が、どんな Moditional を展開しコラボレートしていくのか私たち自身もとても楽しみにしています。

by shigure_project | 2008-12-07 00:01 | 【大雪】