時雨 shigure

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秋分 syubun 0923

二十四節気、1年間限定のスタイル提案blog
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<陰陽の中分となれば也>


暑い日は減り代わりに冷気を感ずる日が増える。


昼と夜の長さがほぼ同じになることで、この日は秋彼岸の中日でもある。


秋の七草が咲き揃う頃である。





Hashimoto Shinobu × Nitayama Tadashi

たとえば、これから来客があるとき

そっと花を飾って迎えたい

客人がそこに居る数時間

その間だけのため

客人は気がつかないかもしれない

でも、その空気は感じ取ってお帰りになるでしょう

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ダリア

ハゼ



片口

素材はこの4つだけ

最小の要素だけで作る宇宙



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c0163908_19493448.jpg仁田山禎士 -Nitayama Tadashi-

はなうさぎ
札幌市豊平区平岸4条7丁目10-16     
TEL・FAX 011-813-3430
OPEN 10:00~19:00
日曜定休

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橋本忍 -Hashimoto Shinobu-

TENSTONE
札幌市中央区南3条西8丁目島屋ビル2F     
TEL・FAX 011-261-6921
OPEN 11:00~21:00



DATA:  フラワーアレンジ 仁田山禎士 / 写真・文・器 橋本忍



普段着の茶


c0163908_20383272.jpg秋にまつわる言葉は多い。例えば、運動の秋、食欲の秋、芸術の秋、そして読書の秋。
秋の夜長は、普段なかなか手をつけられない「大物」を引っ張り出して読んでみるのもいいかもしれない。

と、言うわけで引っ張り出してきた大物は日本文学全集。しばらく前から読みかけで放置していた代物だ。
読書をすると眠くなる、という方のために今回のお供は番茶にしてみる。急須から漂う香ばしい香りに包まれながら熱い番茶をズズズとすする音と、文豪の言葉をカサカサとめくる音がなんとも心地よい。時空を越えた壮大な文学旅行の始まりだ。

番茶と文学と言えば、幸田露伴の「番茶会談」を思い浮かべる人もいるかもしれない。幸田露伴は尾崎紅葉、坪内逍遥、森鴎外と並んで「紅露逍鴎時代」と呼ばれる明治文学の一時代を築いた文豪である。

「番茶会談」は、明治44年に少年向けのビジネス雑誌「実業少年」に連載された作品だ。少年向けのビジネス雑誌があったというのも凄いが、この「番茶会談」の内容も凄い。少年たちが勉強会の場で、番茶を片手に未来や夢について語りあうのだが、そこに登場する町内の物知りな老人が当時にしてはとんでもない先見性で少年たちに教えを説く。
例えば、電力の無線輸送についてや捕盗装置(今で言う監視カメラ)、圧搾空気を利用した空気力車などの事業や技術についてなど。空気力車こそいまだ実現していないが、電力の無線輸送はインターネットとなって実現され、監視カメラはもはや防犯装置の常識になっているのだから、幸田露伴の先見性には恐れ入る。

果たして、こうして「時雨」というブログが無線輸送によって世界中の人々に届けられていることも露伴には見えていたのだろうか。

話を元に戻そう。文学全集のページが進むにつれて番茶も注ぎ足しされていく。急須で淹れた番茶の面白いところは、1杯目、2杯目と味が変わるところだ。本来ならば、茶の濃度が変わらないように幾つかのカップに均等に注いでいくものだが、ひとり酒ならぬ、ひとり茶ではそうもいかない。1杯目と2杯目で濃度が違い、徐々に、より深い味わいになっていくのもひとり茶の楽しみ方のひとつと捉えることが、流儀や作法にとらわれない時雨流なのだ。

時雨流で淹れたお茶でひとり読書に没頭するもよし、番茶会談のように気の合う仲間と番茶片手に語り合うもよし。

お茶と共に過ごす豊かな時間は、心身共に、実りの秋となることだろう。
                                                   (了)


DATA:  写真・文 山田憲治




日本銀行札幌支店



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c0163908_20121038.jpg札幌でもっとも美しい建物のひとつが日本銀行札幌支店。

札幌市中央区北1条西6丁目。オフィスビル街にあって地上2階地下1階建ての、まるで金庫のようなその箱は広大な敷地を擁するにもかかわらず通行する人や車窓からの視界に入る事は少ない。

実際誰かに、僕がとても気に入っているこの箱の事を話すと「そんなのあった?」という答えが返ってくる事がほとんど。
そんなところも僕がこの箱を気に入っているところのひとつである。

昭和36年に建てられたこの箱は当時どのように考えられデザインされたのだろう?
金庫という「用」にだけ徹したものだったのか、それとも建築家の遊び心的作為=より金庫らしくしてしまえ、というようなデザインだったのか。
どちらにしても、他にはあり得ないほどみごとに金庫を表現している日本銀行札幌支店。
この箱がひっそりと街のど真ん中に在り続ける事を願います。

・1989年 第4回札幌市都市景観賞受賞




DATA:  写真・文 橋本忍




時雨フォト募集

時雨では読者の撮った「時雨フォト」を募集しています。
テーマは、あなたなりに感じる「時雨」を表現した写真であればOKです。
時雨チームの選考によりサイトに掲載させて頂きます。
投稿はこちらより




季のこと綴り


日々の暮らしのカレンダー。でも、それに従うだけじゃつまらない。

自分だけの、自分のための、ちょっと特別なカレンダーを。

これからの1年、美しく粛々とした季の暮らしに触れて過ごしてみたいと思います。


秋分のくらしごと

~お彼岸おはぎと夏じまい~


水始涸~ミズハジメテカルル

川の水がやせ涸れはじめる頃、田んぼの水を抜く「落とし水」の時期が秋分
山里では、そんな黄朽葉色の美しく・・少しだけ寂しい景色が広がっているのでしょうか。


秋分はお彼岸の節気
そんな景色に思いを馳せて、今年はおはぎを作りましょ

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小さな小豆をひとつづつ、

傷んだものはより分けて

嫌いじゃないな、この作業




炊き

「豆炊きは一日しごと」
豆を炊くには流儀があって、従わなければうまく炊けない

おろそかにすると味にでる
シンプルだけに難しい
小手先じゃ出来ない仕事
美味しいあんこが食べたければね

「うち水」  ほっこり炊く為に

「渋切り」  とがりを消すために

踊らせず
ころあいを読み灰汁を取る

そして、待つこと。

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春はぼたもち、秋のはおはぎ。

どちらも同じものだけど

秋のそれは、あんこの色が萩の花色とにているからそう呼ぶらしい。


手間をかけることの楽しさ、手間をかけた一日の満ち足りたきもち。

こんな事が今日の一番だいじなことになっても、たまにはいい。


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秋分は夏じまい
お盆が過ぎても、天を仰いでしまうような暑さが続いた札幌ですが
いよいよもって、しっかりと夏の始末をする時期がきたみたい

夏の梅仕事で使ったザルも
もう一度丹念に洗って天日干し
湿度が急に低くなるこの時期は、こうした仕事の「しごろ」です。

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夏の喉を潤すのに活躍した
冷茶のポット、ガラスの器も
この時期一緒に仕舞い支度
重曹をひとさじ擦り洗いで
しゃっきりきれいになりました。


また来年イソイソと心躍る夏に会いましょう。


秋分は・・
たぐりよせる祖母の言葉と向き合う仕事が多いのです
だから「お彼岸」、なのでしょうか。



DATA: 文・写真 井川美香




時雨shigure 次回更新は【寒露・10月8日】の予定です




about 時雨 Shigure

和と上手に暮らすライフスタイル提案マガジン
二十四節気(にじゅうしせっき)の各時節柄にフォーカスを当て札幌を中心に活動する各方面のプロが
Moditional = [traditional + modern]
をキーワードに、各視点から「和と現代の暮らしをクロスオーバー」させ、心と暮らしを豊かにするスタイルを提案していこうというプロジェクトです。
違う分野で活動する面々が、どんな Moditional を展開しコラボレートしていくのか私たち自身もとても楽しみにしています。

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by shigure_project | 2008-09-23 00:00 | 【秋分】

白露 hakuro 0907

二十四節気、1年間限定のスタイル提案blog
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白露 


<陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也>


野には薄の穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられる頃。


朝夕の心地よい涼風に、幾分の肌寒さを感じさせる冷風が混じり始める。





Shinobu Hashimoto × Mika Ikawa


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■Styling Story

暑かった夏の名残を白露でそっと包んだ一品。

まだ緑濃い葉に、ひと雫だけ乗った秋の露

そんなイメージで

漆黒の器のスペースを、余白を残して贅沢に使いました。


「露」の質感にこだわり

器から艶めくような黒の表情引きだすため、少しの時間水に浸し

更に氷を配すことで、キリリと引き締まった緊張感も加えました。


黒の器を使うことで、赤の美しさが際立ちシンプルな料理にも重厚感が生まれます。

今回のようなデザイン性の高い器を使う場合、通常より余白の部分を多くすることで

料理・器それぞれの美しさを強調し 互いの個性を引き立てます。


また、今回のようにModitionalなスタイリングをする場合

使用する素材の色を3色以内に抑えることもポイントです。


[Styling Mika Ikawa]
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recipe
[トマトジュレ~Appetizer]

・完熟トマト
・砂糖
・白ワイン
・レモン汁
・粉ゼラチン


1.湯むきして丁寧に種を取った完熟トマトを小さめにカットし、弱火で甘みを引き出しながら煮詰める

2.形がなくなってきたら、口当たりが滑らかになるまでミキサーにかける

3.砂糖・レモン汁で調味しふやかした粉ゼラチンを加え、セルクルに流し冷やし固める

4.水に白ワインを適量入れ一旦煮立たせ、粉ゼラチンを加え

5.固まった「3」をセルクルから外し一回り大きいセルクルの中央に置き、周りに「4」を流し入れる

6.固まったら外側のセルクルを外し器に盛り付ける


お好みでバジルやローズマリーを乗せ彩りを添える

ジェノバソースをつけてお召しあがりいただくと、口当たりさっぱりとした前菜として頂けます

[foodrecipe & cooking Mika Ikawa]




c0163908_12433916.jpgこの器は皿の周りを堀の様にしてあり、
そこにクラッシュアイスを敷き詰める刺身皿として考え制作した物ですが
こんな使い方も粋ですね。

器は作り手だけでは完結させられない。
使い手のアイデアによってエンディングの変わる物語のようなものだという事を
再確認できたスタイリングでした。(橋本)



DATA: スタイリング・料理 井川美香 / 写真・器 橋本忍




普段着の茶



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秋が近づいてきた。


『暦便覧』では「陰気やうやく重りて、こごりて白色となれば也」と説明される、白露の時期である。わかりやすく言うと、大気が冷えてきて霜ができはじめる時期のこと。
ここ北海道では蜻蛉の姿があちこちで見られ、時折冷たい秋風が街を吹きぬけるようになった。「夏も終わりだな」としみじみ感じる季節。秋分に向けてカウントダウンの始まりだ。


節の変わり目を感じさせてくれるのは、そういった生活の中での景観の変化だったり、変わりゆく街の情緒だったりするのだろう。
しかし、どれほどの人が毎日の生活や仕事に忙殺される日々の中で季節の変化を感じ取り、その変化を楽しめているのだろうか。気がつたら秋でした、ではちょっと寂しい。


身近な生活の中に、ちょっとしたアクセントをつけるだけで秋を感じることができる。
そこで「時雨」が提案するのはお茶。お気に入りの器に抹茶を点てて、「和」とともに秋を楽しもうというわけだ。
お茶をてるというと茶道のイメージが強いが、自宅で嗜むのであれば礼儀作法は必要ない。「普段着の茶」。それが時雨流。


抹茶は粉末化され市販されているものを使用。
作り方は簡単。お気に入りの椀に抹茶の粉末を入れ、お湯を注ぎかき混ぜるだけ。
インスタントコーヒーのように簡単に出来てしまうのだが、それだけではちょっと面白くない。そこで使いたいのが小道具。

抹茶の粉末は茶匙を使っていれてみる。醍醐味ともいえる泡立ては茶筅で。
茶匙も茶も、高価な物は別として、一般的な物であれば、1000円前後で買い揃えることができる。c0163908_239129.jpg
抹茶粉末の量はお好みで自分好みに。多めに入れればとろりとした濃茶になるし、少なめに入れればあっさりとした薄茶になる。
茶筅での泡立ても楽しみのひとつ。本格的な茶道では流派によって泡立て方が異なり、千家では表千家はうっすらと泡立つ程度、裏千家はたっぷりと泡立てる。
にとらわれない時雨流は、その日の気分によって色々なバリエーションを楽しめばいい。


しい毎日にちょっとだけ心にゆとりを。
休日にお茶を点て、のんびりと時の流れを感じるもよし、アフター5に疲れた心と体をゆっくりと温めるもよし。
中秋の名月は、時雨流で点てたお茶を飲みながら・・・。なんていうのも素敵な時間の過ごし方かもしれない。  
                                                       (了)

DATA: 文・写真 山田憲治




季のこと綴り


日々の暮らしのカレンダー。でも、それに従うだけじゃつまらない。

自分だけの、自分のための、ちょっと特別なカレンダーを。

これからの1年、美しく粛々とした季の暮らしに触れて過ごしてみたいと思います。



c0163908_132964.jpg重陽の節句 行事食
~今年の十五夜は“衣かつぎ”で月を愛でる~

草露白~クサノツユシロシ
草に降りる露が寒さで白く見えるようになる、それが白露という言葉の所以とか。
美しい言葉はまだまだ、私たちの暮らしの周りにひっそりと隠されているのですね。
札幌の街なかで、忙しく暮らしていると
草の露が白に変わった事を気に留めることがありません。
なんだか勿体無い気がします。
もっと目を凝らし、耳を凝らしたら、今まで気づかなった秋に出会えるでしょうか。

さて、9月といえば十五夜さんのお月見です。
季のこと綴りの1番目は、このお月見の楽しみ。
秋の名月は、別名「芋名月」と言われるみたい。

9月はちょうど里芋の収穫期だから、昔は上新粉で作るおだんごではなくて
白肌の里芋をそれに見立ててお供えしたそうです。
上新粉が貴重なものだったから・・という説もあるようですが
現代に暮らす私達にとっては土の香り残る皮を残し、ぷっくりと顔をのぞかせた
「衣かつぎ」と呼ばれるそれは・・
普通のおだんごよりも滋味深く、魅力的に思えてしまいます。

「おいしそう・・」

そうだね、今年のお月見はこれでいこう。
ぷりっと剥けた里芋に、甘く煮詰めたお味噌をつけて。

そして毎晩、お月読み。
「名月」と呼ばれるのはこの季節のお月さまだけ。
見逃すなんて、勿体ないもの。


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DATA: 文・写真 井川美香




c0163908_181521100.jpgc0163908_18153923.jpg・次回更新は【秋分・9月23日】の予定です
・時雨フォト募集
時雨では読者の撮った「時雨フォト」を募集しています。テーマは、あなたなりに感じる「時雨」を表現した写真であればOKです。
時雨チームの選考によりサイトに掲載させて頂きます。投稿はこちらより




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をキーワードに、各視点から「和と現代の暮らしをクロスオーバー」させ、心と暮らしを豊かにするスタイルを提案していこうというプロジェクトです。
違う分野で活動する面々が、どんな Moditional を展開しコラボレートしていくのか私たち自身もとても楽しみにしています。

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by shigure_project | 2008-09-07 00:00 | 【白露】