時雨 shigure

カテゴリ:【霜降】( 1 )

霜降 soukou 1023

二十四節気、一年間限定のスタイル提案blog
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<つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也>

北国や山間部では、霜が降りて朝には草木が白く化粧をする頃

野の花の数は減り始める、代わって山を紅葉が飾る頃である




鉄黒土鍋


「こうあるべき」 を、打ち砕くこと

「こうあるゆえ」 を、守り続けること

 それが Moditional

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土鍋です

滑らかなラインは女性でもあり

漆黒の佇まいは男性でもあり


最初に炊く素材は何がいいのか・・

鴨か

魚か

白い飯か。


鍋を前に悩ましい
そんな土鍋が、欲しいのです。

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わかりやすくないもの
媚びないもの

でも
決して・・
奇をてらわないもの。

そして
不思議とあたたかいもの。

だから
彼の生み出す器に人は・・

「惚れる」

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【鉄黒土鍋】 ¥26250 橋本忍作

現在は手に入りません。
随分先の方まで受注で埋まっているそうです。

が・・・
このModitionalな鍋、まさにShigure Style。
もしかするとshigure読者のためにご用意できるかも知れません・・。

もしか、しますか?



一献一品

『木枯らし吹く夜に』

c0163908_15422439.jpg「飲み方どうする?」

男は芋焼酎『鳴門金時』を宙にかざし、残りの分量を確かめながら言った。瓶にはまだ半分以上もの酒が入っている。

「お薦めは?」

テーブルを挟んで向かい合うのは、男の古くからの友人だった。
「ストレート、ロック、水割りってとこかな」
「じゃあ、ロックで」
男はロックグラスに氷を敷き詰め『鳴門金時』を注ぐ。氷がキシリと音を立て、グラスの中で身をよじった。

この友人との付き合いはもう20年になる。青春時代を共に謳歌し、たくさんの苦楽を共有してきた。30代も半ばとなった今でも、家族ぐるみの付き合いで月に1、2度顔を合わせている。

今朝からお互いの奥様連中は紅葉狩りの温泉旅行に出掛けた。友人は置いていかれたことを愚痴っていたが、「いいじゃないか、女は女同士、男は男同士でゆっくり呑もう」と、電話の向こうで不機嫌そうな声を出す友人を自宅に呼んだ。
友人が来るまでの間に、自宅の和室を綺麗に掃除してテーブルやらなにやらをセッティングする。「温泉宿に行きたかった」と愚痴る友人の為に、少しでも特別な空間を演出してあげたかった。用意したグラスも、職人が作った工芸品である。下ごしらえをしておいた『茄子のからし和え』を趣のある小鉢に入れてテーブルの上に置いた。
本物の温泉宿には敵わないかもしれないが、自宅の和室に作り上げた特別な空間はなかなかの出来栄えだった。
男は、これから訪れる旧知の「お客様」をお迎えするのが、なんだか待ち遠しくなった。


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友人と差し向かえでゆっくりと杯を傾けるのは実に久しぶりのことだった。

「これ、お前が作ったの?」

意外そうな声を出して友人は小鉢を覗き込む。
「簡単なものしか作れないけどね。最近、酒の肴を自分で作るのにはまってるんだ」
「へぇ。なかなか洒落たことしてんだね」
友人は箸を伸ばして茄子を口の中に放り込み、その味に納得したかのように小さく頷いた。

『鳴門金時』が香る。さつまいもの甘い香りが喉を鳴らすたびに鼻腔にふわりと漂う。
旨い酒と旨い肴、そして気の許せる友人と語り合う時間。男にとって、この上ない幸せの時間だ。

20代の頃、男同士の酒盛りは下世話な話ばかりで盛り上がっていた。30代になると仕事の話が自然と口を突くようになる。景気だとか政治だとか、若い頃には無縁だと思っていたことにやたらと詳しくなっている自分たちが急に可笑しくなった。


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男は窓の外に視線を向けた。時折、強い北風が窓をガタリと叩く。
「木枯らし、か」
友人は小さく溶け始めた氷を揺らすようにグラスを傾けて言った。
男は立ち上がり、窓越しに外の景色を覗いた。木枯らしに吹かれた落ち葉が、オレンジ色の街灯の下で小さく舞い上がっていた。

「もうすぐ冬が来るなぁ」

男はしみじみと言った。
「焼き芋が旨くなる季節だねぇ」
友人は屈託のない笑顔で言葉を返す。この空間が気に入ったらしく、友人はのんびりとくつろいでいる。
男は再び腰を下ろすと『鳴門金時』を友人のグラスに注ぎ足した。

「知ってるか?焼き芋焼酎ってのもあるんだぜ」
「へぇ、知らなかった。じゃあ次回はそれで決まりだな」

木枯らしが吹く夜に、男たちの酒談議は枯れることのない彩りを放ちながら、『鳴門金時』の酒瓶が空になるまで続いた。


DATA:  写真・文 山田憲治


時雨フォト募集
時雨では読者の撮った「時雨フォト」を募集しています。
テーマは、あなたなりに感じる「時雨」を表現した写真であればOKです。
またエッセイ的なものでも歓迎。こちらでストーリーにあった写真を用意します。

投稿はこちらより



季のこと綴り


日々の暮らしのカレンダー。でも、それに従うだけじゃつまらない。

自分だけの、自分のための、ちょっと特別なカレンダーを。

これからの1年、美しく粛々とした季の暮らしに触れて過ごしてみたいと思います。



霜降のくらしごと
~神社参りと五穀ごはん~

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霜始降~シモハジメテフル

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神様がいなくなる?
十月の異名は「神無月」 この時期に日本中の神様が出雲に集うから・・なのだとか。
だから、出雲地方だけは「神在月‐かみありづき」
五穀豊穣を祝って、神様も秋の旅・・でしょうか。
ところで神社、行きますか?
初詣だけじゃなく、七五三だけじゃなく。

実は住む町のあちこちに、見落としそうな道の奥に
神社はけっこうあるものです。

「実りをくれてありがとう」
「冬を越させてくれてありがとう」

折にふれ、日々の暮らしのあたりまえのことが・・あたりまえじゃなかった頃から
その心の拠り所として、人間の身近に存在していたもの。

人の心のそんな思いがどこか薄れても
その存在は今日も変わることなく、あるのです。

雑踏を横に逸れ、鳥居を一歩くぐれば
現代(いま)と昔の境が解ける、不思議な錯誤を楽しめます。

あえて、なんでもない日。
自分の街の、ちいさな神社に
出かけてみるのも、良いものです。

至・札幌豊平神社

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この時期、伊勢神宮の「神嘗祭‐かんなめさい」を筆頭に

各地で実りに感謝するお祭りが行われていることでしょう。

新穀を奉納して今年の実りに感謝し、来年の豊穣を祈願する。


毎日食べるご飯に

今日はいつもより多めの感謝をこめて

うちでも、小さな豊穣祭。


届いたばかりの、まっ白い新米にもそそられるけど・・

今日は五穀も味わいましょう。


小豆・黒豆・大豆にはと麦・・きび・ひえ・あわに・・蕎麦・黒米

米以外の穀物を五穀と言います、五種類の穀物・・ではないのです。


滋味をしっかり味わいたいから、添えにもシンプルな一品を。

美味しいお出汁の汁があったら

絶品の「感謝ごはん」

上質な塗りの折敷に乗せて、膝を揃えていただきたいもの。


旅でお留守の神様にも聞こえるように

大きな声で 「ご馳走さまです」
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DATA: 文・写真 井川美香




時雨shigure 次回更新は【立冬・11月7日】の予定です




about 時雨 Shigure

和と上手に暮らすライフスタイル提案マガジン
二十四節気(にじゅうしせっき)の各時節柄にフォーカスを当て札幌を中心に活動する各方面のプロが
Moditional = [traditional + modern]
をキーワードに、各視点から「和と現代の暮らしをクロスオーバー」させ、心と暮らしを豊かにするスタイルを提案していこうというプロジェクトです。
違う分野で活動する面々が、どんな Moditional を展開しコラボレートしていくのか私たち自身もとても楽しみにしています。

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by shigure_project | 2008-10-23 00:00 | 【霜降】