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時雨 shigure

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二十四節気、一年間限定のスタイル提案blog
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夏の立つがゆへ也 <暦便覧より>


この日から立秋の前日までが夏。

野山に新緑に彩られ、夏の気配が感じられるようになる。

かえるが鳴き始め、竹の子が生えてくる頃。





仏画家 國井愉希子 shigure intervier



札幌を拠点に仏画教室を主宰し、仏画の美しさと伝統的な技術を伝えている國井愉希子さん。時雨チームがオーダーした「時雨的仏画」というテーマに快くご協力をしていただき、ついにその「時雨的仏画」が完成した。自身、5年ぶりだという個展「國井愉希子 仏画展」を目前に控え、「時雨的仏画」についての他、仏画の魅力、仏画への想いなどのお話を伺った。新企画「時雨・インタビュー」第1弾。

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時雨的仏画

――「時雨」というオーダーでしたが、「時雨」というキーワードをどう捉えて、どんなイメージで描きましたか?

シンプルで、モダンな部屋にも飾れて、粋な感じ(笑)。そんなイメージをしました。
仏画となると同じような大きさで、重たくなりがちな感じがあるので、それを横長にしたらどうだろうねという話を(時雨チームの)橋本さんとさせていただいて、その中の会話からヒントを得てすっきりした感じでお部屋とかにも合いやすい感じを作りました。

―― 胸から上だけの絵ですが?

はい、私的にそういう風に書こうかなと。孔雀明王の羽の部分を中心に書きたくて、そういうのも面白いかなと思って書きました。

―― 「時雨」を意識したことは?

形とかも普段は全体を描くので、部分だけ切り取ったりとかはなかったんですけど、いままでは伝統芸能として描いていたぶん、形とかもなんとなく抜けられなくなっていたので、斬新にしてみようと。

―― 伝統芸能の枠を破って、いままでの仏画にない見せ方になっていますね。

そうですね、すごい勉強になりました(笑)

―― 手ごたえは?

これから色々広がりそうかな、という感じはありますね。

―― 横長でお洒落な雰囲気は、インテリアとしても置ける感じがありますね。

そうですね、辛気臭くならなくていいですよね。どうしても仏画って、仏壇とかそういうイメージとかになっちゃうので(笑)
リビングにも置ける感じになったと思うのでよかったと思います(笑)



仏画の魅力
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―― 仏画を始めたきっかけはなんですか?

以前にネパールとかの雑貨屋さんで働いていて、そこで曼荼羅とかをたくさん見ているうちに書いてみたいなと。
身近に書いている人は全然いなくて、ネパールに行けば見つかるかな?と思って、その雑貨屋のオーナーに情報を聞いてあてもなくネパールに行きました。(笑)仏画を教えてくれる人が見つかるかなと思って(笑)人を介して探すとしがらみとかあったら嫌だったんで、自分で行って探した方が気も楽だし簡単かなと思って。

―― すごい行動派ですね。すぐに見つかりました?

けっこう見つかりましたよ。そして色々仏画を見せてもらってという感じで。はじめは下見で行って、どのくらいお金がかかるのかとかどのくらい滞在できるのかとか調べてから、一回帰ってきて、それから2年間お金を貯めて、本格的に勉強をしに行ったんです。

―― 言葉とかは?

言葉は英語だけですね。

―― 不自由は?元々英語は得意でした?

英語は全然出来ないです。少しは勉強していきましたけど、絵なので、見て技術を盗むとかもできるかなと思って(笑)

―― ネパールで勉強していた期間は?

1年と3ヶ月行っていました。帰国して半年くらいしてから、教室をやるのにいい場所が見つかったので、仏画教室を始めました。今年で6年目になります。

―― 仏画教室の生徒層は?

中学生から65歳くらいまでです。

―― 男女比でいうと?

女性の方が多いですね。

―― 仏画の魅力を教えてください。

自分で書いてるんだけど、出来上がったときは自分で書いたものではないような。自分の意志も入るんですけど、仏様がメインになるので、書かせていただいているという感じになります。

―― 元々絵に興味があったのですか?

元々、短大でデザイン科にいたりとか、デッサンとかそういう基本はやってました。
油彩とかもいろいろやったんですけど、仏画はやっぱり自分的に別格という気はしますね。

―― 難しい?

難しさで言ったら同じかなとは思いますけど。

―― 僕もやってみたいと思うのですが、絵心ないんですよ、大丈夫ですかね?

大丈夫ですよ。仏画には設計図があるんです。設計図に乗っ取って、顔の左右対称とか体の足の位置とかも決まっているので、やる気さえあれば描けます。設計図を下書きして描くのでまったくのゼロから描くわけではないのでバランスが悪くなったりしませんし補助線というものがあって、それを使えば大丈夫。根気さえあれば大丈夫です。

―― ひとつの作品を書き上げる時間はどれくらいかかりますか?

その作品のサイズやデザインにもよりますが、教室だと、一週、一週になってしまうのでだいたい20回くらい。1回3時間です。細かい作業になってしまうのでそのくらいはかかりますね。

―― 顔料はどのようなものを使っていますか?

私は日本画の画材を使っています。水干絵の具です。教室ではポスターカラーを使っています。

―― 色に関してルールは?

色には、仏様に関しては決まっているところがあるので。

―― 好きな色を使っていいわけではないということですね?

はい、そうですね。

―― 要所要所を押さえておけばあとは自由?

背景とか衣装とかはいじれるのでオリジナリティは出せるかなと思います。
決まっている色というのは肌の色とか装飾の部分で大日如来だったら五仏が付くんですよね、仏様が五体付くとか、そういうので区別されています。体の色もそれぞれの仏様で違った色がありますね。

―― 技法とか流派とかがあるのですか?

私が書いてるのはチベット密教式なんですよ。でも、向こうのものと日本のものと混ぜて作っているので、ちょっとまた感じが違うかなと思います。基本的なところはチベット密教式を押さえてますけど、装飾とかそういうのは日本のものも混ぜてます。
仏 画はシルクロードを通って入ってきているものなんですよね。元々インドで発祥していて、チベットに行って、スリランカとかそのあたりの周辺国に行って、中国や韓国にも行って。だから仏画はその国々でその国の顔になっているんですよ。衣装とか装飾とかもその国のものになっているんです。例えば、中国だと中国の衣装や髭や顔立ち、韓国は韓国の民族衣装のような印象の衣装や色彩になっていたりとか、その国のカラーが混じっています。日本だ と一重で下膨れでとか、いわゆる昔の平安顔みたいな感じの仏画になりますね。

―― 日本でいうと仏画の本場は京都?

そうですね、京都は多いですね。あと千葉も多いです。成田山があるので。

―― その中でも画風は違う?

御本尊が違うので、たぶん違いはあると思います。
浄土真宗だと阿弥陀仏がご本尊で、真言宗だと御不動さんという違いがありますから。

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仏画への想い

―― これから仏画をどう広めていきたいですか?またはどう見て欲しいですか?

もうちょっと身近なものになって欲しいなと思います。私も 見せ方とかもっと色々研究していきたいなと思ってますね。楽しめる感じにしたいです。もちろん仏様ですから、厳かな部分もあるのですが、そういう部分も残 しつつ、仏画を見た人が拝むだけじゃなくて、見ていて気持ちが良かったりとか、心が休まったりするようなものにしたいですね。

―― 今の若い人は家に仏壇を持っていない人が多いと思うのですが、これからのスタイルとして仏画を飾るというのは新しい祭壇のスタイルとして面白いかなと思いました。

そうですね、教室の生徒さんなんかは自分で書いたものをご自宅に飾って自分だけの祭壇にしていらっしゃる方もいるので、そういうのもありですよね。そういう形でも身近に感じてもらえれば嬉しいですね。


―― 仏画を始めたい人へのメッセージをお願いします。

普段忙しい時間を過ごされている方が多いと思うんですけど、仏画を描くということで強制的に落ち着く時間をつくることでそこでリセットというか切り替えができます。
そういう落ち着く時間というのは大切だと思うので、そういう時間を作れるという意味では仏画もいいかなと思います。心を込めて書くという、仏様に対してお祈りするような感じになるので、とても心が落ち着くかなというのはありますね。上手下手というものではないので、線を追って書くだけというのもありますし、慣れてくると瞑想的な感じになってきて頭は空っぽで手だけ動くという感じにもなりますよ。慣れると疲れないです。

―― 最後に個展について意気込みをお願いします。

いままで見てもらうということをあまりしてこなかったので個展をやってみようかなと。5年ぶりの個展になります。仏画教室展というのは毎年やっていたんですけど、それは生徒さんの作品がメインでわたしのは少しという感じでやっていて、すっかり自分の個展をやるのを忘れてました(笑)。
仏画をいうものは、個人個人が感じるものなんです。意味とかを私がつけるのではなくて個人個人が見たりとか書いたりとかして、「楽になった」とか、自分で意味付けしていくものなんですね。だからそれぞれが、なにかを感じていただいていいことがあればいいなと思うんですけど(笑)。ただ、ああ綺麗だなとかで終わってもらってもかまわないんです。実際見ていただいて、なにか感じてもらえればいいですね。仏画といえども絵ですから、まずは多くの人に見ていただきたいと思っています。そして仏画を身近に触れてください。

國井愉希子 仏画展
2009年5月6日(水)~5月12日(火) ギャラリー門馬ANNEX 観覧時間:11時~19時

國井さんのHPはこちら


DATA:  写真・文 ヤマダケンジ



時雨フォト募集

時雨では読者の撮った「時雨フォト」を募集しています。
テーマは、あなたなりに感じる「時雨」を表現した写真であればOKです。
時雨チームの選考によりサイトに掲載させて頂きます。
投稿はこちらより



卵かけご飯でおもてなし


「もてなし」と「しつらえ」。まず第一に心が無ければ成り立たない

心無く、良い品を羅列したところで人の心には届かない

想う気持ちを形にすれば、それがおもてなし。

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これが時雨からの提案

「卵かけご飯」

そのまま出してはただの非常食?ですがこんなセッティングはいかがでしょうか。


妻の実家でとれたお米を土鍋で炊きました。

卵は普通の卵。

付け合わせには、おかか・桜えび・野沢菜の漬け物で少しずつ味のバリエーションを楽しんでいただきたい。

以前時雨でも紹介した京都一保堂茶舗の「いり番茶」はスモーキーな風味が卵かけご飯とよく合います。

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付け合わせは何にしようかと悩み。

気に入った器たちを並べて、どれにしようと再び悩む。

並べ方を考えるのも楽しく、

まるで大人のままごとのよう。


あなたの「わぁ」って言葉が聞きたいんです。

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DATA: 文・写真 橋本忍




不定期配信中

about 時雨 Shigure

和と上手に暮らすライフスタイル提案マガジン
二十四節気(にじゅうしせっき)の各時節柄にフォーカスを当て札幌を中心に活動する各方面のプロが
Moditional = [traditional + modern]
をキーワードに、各視点から「和と現代の暮らしをクロスオーバー」させ、心と暮らしを豊かにするスタイルを提案していこうというプロジェクトです。
違う分野で活動する面々が、どんな Moditional を展開しコラボレートしていくのか私たち自身もとても楽しみにしています。


# by shigure_project | 2009-05-06 20:24 | 【立夏】